上海からイスタンブールまで陸路で行った際の費用・日数などの記録(ユーラシア大陸横断旅行)

国境越え

この記事では、私が2018年~2023年までに上海からイスタンブールまで陸路で行った際の記録と、その手段や費用について詳細に記していきます。情報が少し古いかもしれませんが、これから旅をする方の参考になれば幸いです!

はじめに – 旅の動機と全体像

まずはこのユーラシア大陸横断旅行の全体像を示しましょう。

この旅の全体像

おおまかなルートは以下の通りです。なお、旅程は3つに分かれています。一気に(日本に帰らずに)上海からイスタンブールまで旅したわけではないので、ご注意ください。また、以下のカザフスタン→アゼルバイジャン間は、残念ながら通過できていないです。

※ アクタウ発バクー行きのフェリーが存在するそうですが、詳細はわかりません。

旅のルート

中国(上海)→カザフスタン→ウズベキスタン→カザフスタン(→)アゼルバイジャン→ジョージア→トルコ(イスタンブール)

なぜ陸路で旅をしたのか?

「深夜特急」の著者、沢木耕太郎氏の言葉を借りるなら、「地球の大きさをこの足で知覚したかった」ことが理由かもしれません。昔からバスや鉄道を使って長時間旅をするのが好きだったこともありますね。また、陸路での国境越えが好きだったのも理由の一つです。

国境越えのワンシーン(アゼルバイジャン – ジョージア国境, 2023年7月)

旅した日数と移動手段 & 費用

所要時間(日数)と移動手段とについてまとめておきます。

上海からイスタンブールまでの所要日数と費用(34日間で22.5万円)

前述の通り、旅程は3つに分かれています。それぞれの旅程にかかった日数を記します。合計すると34日間でした。

※ 実際には、カザフスタンからキルギスに寄ったりしていて旅程としてはもっと長いのですが、寄り道はカウントせずに最短で上海からイスタンブールまで行った場合の日数を算出しました。

それぞれの旅程にかかった日数

旅程① 中国(上海〜ウルムチ):6日間
旅程② 中央アジア(ウルムチ〜アクタウ):19日間
旅程③ コーカサス(バクー〜イスタンブール):9日間

また、航空券代を除いたトータルの費用は約22.5万円でした。

交通費・宿泊費・食費などの内訳

ここでは、上海からイスタンブールまでに要した旅費の詳細について書いていきます。幸いにも旅先でのほとんどの決済の記録が残っているため、かなり詳しく解説できると思います。ただ、現在とは物価が異なる場合もあると思うので、その点はご容赦ください。

前述の通り、航空券代を除いた交通費・宿泊費・食費を合わせると、全部で約22.5万円でした。なるべく安い交通手段、安い宿、安くて美味しい食事を選ぶようにしましたが、ずっと節約して旅したというわけではないです。時々高級ホテル(といっても1泊1万円ほど)に泊まったりもしましたね。

上海からイスタンブールまでの旅費の内訳

交通費:約6万円 ※航空券代を除く
宿泊費:約10.5万円
食費:約6万円
合計:約22.5万円

34日間で22.5万円なので、1日あたり約6,600円です。地域によっては現在とは物価・為替レートがかなり異なると思うので、22.5万円だと足りないかもしれません。1ヶ月で(航空券代を除いて)30万円ぐらいあれば余裕をもって旅できるかなと思います。

移動手段と交通費の詳細

交通費に関してはかなり詳細に記録していました。以下に交通手段とかかった費用の一覧を示します。費用は当時の通貨レートを適用して円換算しています。

日付交通手段費用(円)出発地目的地
2018/10/20鉄道¥11,487上海紅橋駅西安北駅
2018/10/21鉄道¥8,303西安駅ウルムチ南駅
2019/04/25鉄道¥1,696ウルムチ南駅伊寧駅
2019/04/27乗り合いタクシー¥1,200伊寧バスターミナル新源バスターミナル
2019/04/27乗り合いタクシー¥320新源バスターミナルナラティ市街地
2019/04/28乗り合いタクシー¥320ナラティ市街地新源バスターミナル
2019/04/28バス¥640新源バスターミナル伊寧バスターミナル
2019/04/29バス¥400伊寧バスターミナルホロゴス国際バスターミナル
2019/04/30バス¥1,120ホロゴス国際バスターミナルジャルケントバス乗り場
2019/04/30乗り合いタクシー¥1,600ジャルケントバス乗り場アルマイト・サイランバスターミナル
2019/05/03鉄道¥6,370アルマトイI駅タシケント駅
2019/05/06バス¥325タシケントのバスターミナル(オルマゾール駅付近)サマルカンド北部のバスターミナル
2019/05/07乗り合いタクシー¥650サマルカンドの天文台近くの乗り合いタクシー乗り場ブハラ市街地
2019/05/08乗り合いタクシー¥1,430ブハラのバスターミナル(カラバンバザール)ヒヴァ市街地
2019/05/10マルシュルートカ¥39ヒヴァ北門のトロリーバス乗り場ウルゲンチバスターミナル
2019/05/10市バス¥13ウルゲンチのバザールウルゲンチのオリンピックスタジアム(乗り合いタクシー乗り場)
2019/05/10乗り合いタクシー¥650ウルゲンチのオリンピックスタジアム(乗り合いタクシー乗り場)ヌクス市街地
2019/05/11鉄道¥3,900ヌクス駅アクタウ駅(マンギスタウ駅)
2023/07/05タクシー¥4,189バクー空港バクー市街地
2023/07/06バス¥848バクーのバスターミナルシェキのバスターミナル
2023/07/07マルシュルートカ¥640シェキのバスターミナル国境
2023/07/07乗り合いタクシー¥1,000国境シグナギ市街地
2023/07/07マルシュルートカ¥500シグナギのマルシュルートカ乗り場トビリシのバスターミナル
2023/07/09バス¥3,000トビリシのバス乗り場バトゥミ市街地
2023/07/11バス¥4,200バトゥミのバスターミナルトラブゾンのバスターミナル
2023/07/12バス¥1,282トラブゾンのバスターミナルサムスンのバスターミナル
2023/07/13バス¥2,939サムスンのバスターミナルイスタンブールのアジア側バスターミナル

移動手段それぞれのメリット・デメリット

主に使った交通手段とそのメリット・デメリットを書きます。

  1. 鉄道:主に中国で利用しました。距離を稼ぐならやっぱり鉄道です。車窓から見る風景もなかなか良いですね。一方で、予約するのがちょっと大変(オンラインで買えない場合は駅のチケットオフィスに行く必要があります)、満席で予約が取れない場合がある、夜行列車だと景色が見れないなどのデメリットがあります。
  2. 中長距離バス:料金の安さで選ぶならバスが一番でしょう。特に、ジョージアからトルコにかけては METRO というトルコの大手バス会社を利用して安く旅することができました。鉄道と違ってバスからは街の風景がよく見えるので好きです。一方で、時間がかかることや、故障等で大幅に遅れることがあるのがデメリットでしょうか。
  3. マルシュルートカ:旧ソ連圏諸国で見られる短~中距離バスです。料金は安いですが、停留所で停まるため時間はかかります。乗客が多いときは車内に鮨詰めにされて、体が押し潰されるような圧迫感に耐えながら、なんとか踏ん張って立ち続けることになります。
  4. 乗り合いタクシー:短~中距離移動に使いました。料金はやや高いですが、バスよりは速いです。バスもそうですが、地元の人と同じ乗り物で移動できるのは良い体験ですね。料金交渉が必要な場合があります。
  5. 市バス:短距離移動に便利で料金も安いです。何番のバスに乗ればいいのか、降りる場所はどこかなど事前に確認しておくことが多いですが、乗りこなせれば市内移動がすごく楽しくなります。

国境越えの際の注意点

上海からイスタンブールに至るにあたり、国境越えが5箇所ありました。 陸路での国境越えは、国によっては土日は通行できなかったり、手続きに時間がかかったりと、いくつか注意点があります。

以下の記事で詳しく解説しているので、ご参考にどうぞ!

旅程① 中国の旅(2018年10月)

ここからは詳細な旅程について書いていきます。まずは2018年の中国からです。

上海→西安

友人と「上海からウルムチまで行ってみよう」という話になって始まったこの旅。途中で西安に寄って、秦始皇帝の兵馬俑や三蔵法師玄奘がインドから持ち帰った仏典のある大雁塔を見たりもしました。

2018年10月19日午後、成田空港から中国国際航空のCA158便に乗って上海浦東国際空港(PVG)に到着。初めての上海でした。浦東空港の巨大さにやや戸惑いながらも、なんとか市街地へ向かうバスを見つけて乗り込みました。

空港バスで世紀大道まで行って、そこから地下鉄を使ってホテルへ。翌日は上海紅橋火車站から鉄道に乗る予定だったので、鉄道駅の近くのホテルを予約していました。

泊まったホテル

メルキュール上海紅橋エアポート
料金:2人1泊8,170円

ホテルに荷物を置いて、いざ上海観光!と言っても翌朝は6時の列車(新幹線)に乗らないといけないため、外灘のエリアを軽く歩いて、適当に晩ごはんを食べて、早めに就寝となりました。

翌日(2018年10月20日)の朝、4時か5時頃に起きて、ホテルから出ている無料のシャトルバスに乗って鉄道駅へと向かいました。めちゃくちゃ眠かったです。早朝の駅周辺にはまったく人がおらず、ここが本当に駅なのかさえ確証が持てませんでしたが、駅と思われる大きな建物に入るとやはりそこは駅でした。巨大な上海紅橋火車站。土曜日の朝ということもあって、駅のコンコースは多くの旅客で賑わっていました。

チケットカウンターでCtripで予約していたチケットを発券し、お腹が空いたので朝ご飯を買いに駅舎内になるバーガーキングへ。車内で食べるためにテイクアウトしました。

出発時刻の少し前にプラットホームへ行くとすでに列車が到着していました。思ってた以上に見た目が新幹線でした。そりゃ上海 – 西安間の約1,400kmを7時間で走るわけですからね。

乗った列車

列車番号:G1970
出発地:上海紅橋(06:10発)
目的地:西安北(13:22着)
料金:11,487円/人

定刻通り出発。列車の中で食べるバーガーキングはなぜかいつもより美味しい。

列車の中で西安の予定を決めつつ、車窓の外を流れる黄河をながめていたら7時間はあっという間でした。西安北に到着。地下鉄で西安の中心部にあるホテルへ向かいました。

泊まったホテル

グランド ソリュクスインターナショナルホテル西安 (西安阳光国际大酒店)
料金:2人2泊13,429円

なかなか高級な雰囲気のあるホテルでした。部屋からは西安の市街地がよく見えました。曇っていてどんよりしていて、ほこりっぽい感じの景色。中国だな〜

街に出てみました。きっと西安は、悠久の歴史の流れが街の至る所で感じられる神秘的な街なのだろうと勝手に想像していましたが、実際は中国内陸部のただの地方都市なのであって、喧騒と猥雑さに満ちた人民のパワー全開の街でした。中国はどこへ行っても中国なのだなという驚き。一方で、確かに歴史を感じる建物もあり、また、回族(イスラム教徒)の方を多く見かけ、上海とは人々の顔つきが異なることに、ある種の感動を覚えたりもしました。

この日の午後は、大雁塔に行ったり回族街で羊料理を食べたりと、西安市内を満喫しました。

西安2日目(2018年10月21日)は、バスに乗って郊外にある秦始皇帝兵馬俑博物館へ。兵馬俑に圧倒されましたね。社会の教科書で見た兵馬俑をこの目で見ることができたのは感慨深かったです。

ただ、雨が降っていたこともあってすごく寒かった!博物館の近くにあったスタバで飲んだホットコーヒーが体にしみわたって美味しかった。

日が暮れる前に西安市内に戻ってきて城壁に登りました。この城壁は、西安の中心部を長方形で囲むように建てられており、全長は約13.7キロメートルあります。明の時代に建てられたそうですから、700年近い歴史のある城壁です。古都西安のシンボルと言ってもいいでしょう。

自転車を借りて、城壁の上をサイクリングしました。石畳の上をチャリで走るのはけっこう大変です。振動がすごい!城壁を半周ぐらい走ったところで、脚にかなりの疲労を感じましたが、チャリの返却は借りたのと同じ場所なので、来た道を戻るも一周するのも同じ距離。というわけで、結局、一周13キロを走りきりました。なかなかの運動でした。

翌朝は早くから列車に乗らねばならず、早めに就寝。いよいよ今回の旅の終着地、ウルムチへ向かいます。

西安→ウルムチ

2018年10月22日の朝、ホテルを出るとすごく寒かったです。10月の西安は寒いのです。5℃くらいだったんじゃないかな。大した防寒具ももっておらず、ホテルから駅まで凍えるながら歩きました。駅の中でさえ寒かった。06時03分発の列車に乗りました。翌日の早朝まで、26時間の列車旅です。

乗った列車

列車番号:T307
出発地:西安(06:03発)
目的地:ウルムチ(翌08:39着)
料金:8,303円/人

※ この列車の旅の詳細は、別の記事でも書いています。チケットの購入方法など参考になれば幸いです。

西安から夜行列車でウルムチへ(チケットの購入方法など注意点あり)
この記事では、陝西省西安から鉄道に乗って新疆ウイグル自治区のウルムチまで行った鉄道旅について書きます。走行距離2,500km、約26時間の夜行列車の旅です。(長い・・・)費用は487.5元(約8,000円)でした。旅の行程や中国の鉄道に乗る...

窓の向こうにある中国の田舎の風景をボーっと眺めながら、その土地に思いを馳せ、ただただ時間が過ぎるのを待つ…なんという贅沢でしょうか。私はこのために旅をしているのかもしれない。流れていく景色が脳裏をすり抜けていく心地よさ。嘘だろと思うかもしれませんが、なにも退屈することがなかったです。26時間はあっという間でした。

翌朝(2018年10月23日)は8時頃に目が覚めて、窓の外を見てみると夜が明けているところでした。朝陽に照らされる大地には、何本もの風力発電用の風車が建っていて、ああこの列車は新疆ウイグル自治区に入ったのだなと気付かせてくれました。

ほぼ定刻通りにウルムチ南駅に到着し、荷物を置きにホテルへ。上海で泊まったのと同系列のホテルでした。高級感があって良かった。

泊まったホテル

グランド メルキュール ウルムチホアリング (烏魯木斉華凌雅高美爵大飯店)
料金:2人1泊7,594円

天山天池の美しい湖を見るため、ウルムチ市の北側にあるバスターミナル(烏魯木斉北郊客運站)へ。そこからバスとタクシーを乗り継いで、天山天池景区まで行きました。ウルムチを出発してから約3時間でした。素晴らしい景色でした。中国人の国内旅行客が多かったですね。

※ 天池への行き方は以下の記事で詳しく解説しています。

夜はウルムチ市内の繁華街で火鍋を食べ、辛すぎたので甘いものが欲しくなり、カフェでケーキを食べました。ウルムチは大都市とはいえ中国の辺境の街。そこの洋菓子なんてあまり期待はしてはいなかったけど、やっぱり予想通りの味でした。洋食文化がほとんど無い街で、美味しいケーキを作るのは大変なんだろうなと思ったり。

ウルムチの2日目(2018年10月24日)、この日は紅山という小高い丘に登ったり、国際バザールに行ったりした。国際バザールで食べたプロフ、美味しかったな〜西安よりも一層イスラムの香り漂うウルムチ。上海、西安、ウルムチと来て、民族のグラデーションを見ているようで、なかなか興味深かったです。

夜のフライトで北京経由で日本に帰る…はずだったのだが、北京で乗り継ぎする際にパスポートを紛失して大変なことになりました。この話は本筋に反れるため、また別で書くことにします。

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