ついに今回の旅のハイライト、中国(カシュガル)→キルギス(オシュ)の国境越えです。2018年5月7日月曜日時点での情報です。
中国・キルギス国境(イルケシュタム国境)は、圧倒的な絶景でした。
私はこれまで、8カ国ほどの陸路国境を越えてきましたが、この記事で紹介するイルケシュタム国境は、その中でも最も美しい国境のひとつだと言えます。
この国境を越えるは一日がかりの大仕事です。しかし、シルクロードの歴史に思いを馳せながら、中国・キルギスの壮大な自然を感じることができる最高のルートです。
多くの方にぜひ越えていただきたい国境です。
この記事では、中国・キルギス国境(イルケシュタム国境)の越え方、タイムスケジュールなどを書きます。
ただ、国境の情報はよく変わるので、できる限り、現地で情報を収集することをオススメします。
今回も写真と動画たっぷりで解説しますので、ぜひ最後まで読んでください!
また、以下の記事で逆ルートのキルギスから中国に入国する方法も書いています。こちらもかなり詳しく書いたのでぜひ読んでみてください。
カシュガルからオシュへ向かう際に必要なお金・注意点
以下は、新疆ウイグル自治区のカシュガルからキルギスのオシュまで行くおおまかな流れです。
国境越えに必要な交通費は、乗合タクシーに3回乗って合計で343元でした。
※料金は変わることもあると思うので、現金を多めに持っておいたほうが良いです。人民元はオシュで両替できますし、最後の200元は人民元でもソムでも支払い可能でした。
次に、以下は国境越えの際の注意点です。
中国・キルギス国境越えのタイムスケジュール
※北京時間です。
※乗り合いタクシーの状況によってだいぶ時間は変わると思います。
※要所だけ赤字にしています。
以下のスケジュールの通り、朝9時にカシュガルのバスターミナルに行かないと、その日のうちにキルギスのオシュにたどり着くのは厳しいと思います。
国境越え①カシュガル国際バスターミナルへ
さて、ここから中国・キルギス国境越えについて詳しく書いていきます!
喀什老城青年旅舎を出発したのが08:55ぐらいだったので(寝坊した)、少し焦りつつカシュガル国際バスターミナルへ向かいました。
タクシーで40元だったかな。
カシュガル国際バスターミナルは最近移転したようで、カシュガル駅(鉄道駅)の向かいにあります。
通勤通学の時間に宿を出発したので、制服の子供が、親に原付きの乗せられて学校に向かっていました。
清々しい月曜日の朝です。天気も良くて、絶好の国境越え日和!
カシュガル国際バスターミナルでウルグチャット(烏恰)行きの乗り合いタクシーのチケットを買います。
窓口で「ウチャ!」と言えば買えます。33元。乗り合いタクシーなので、4人揃わないと出発できません。
09:47 カシュガルを出発。
漢民族の男性3人、そして私。
私以外の3人はウルグチャットに用があるようでした。
なので国境へは一人で行かねばならない。
砂漠のような岩山の景色が続きます。
11:15 検問に到着。
この先何度もある検問です。ここでは運転手の身分証チェックが主でした。
検問では、漢民族かどうかを聞かれます。基本的に漢民族はスルーパスのようです。
外国人はパスポートチェックされます。
私のパスポートもチェックされました。
周りは砂の山。
山風が強く、日差しが眩しい。カシュガルと比べると少し寒い。
イルケシュタムまでは150キロと書いてありました。
すごい景色の良いところだったのですが、残念ながら写真はNGでした。
サービスエリアみたいなところがありましたが、閉まっているようでした。
積み荷のないトラックと軍のジープが順番待ちをしていました。
11:54 検問を出発。
途中にスキー場らしきものがありましたが、新疆ウイグル自治区でもスキーはできるのかな?
こんなところまで電気は通っているようで、砂色の山に鉄塔が立っていました。
12:10 ウルグチャット(烏恰)市街地に到着!
普通に街でした。
ここで、同じ乗り合いタクシーに乗っていた漢民族の3人は降りていきました。
私だけイミグレまで送ってもらうことに。
追加で10元かかりました。多分5元で行けたと思います。ボラれた・・・
国境越え②ウルグチャット(烏恰)のイミグレ
この交差点を左に曲がると、簡単な検問があり、その先にイミグレがあります。
それにしても美しい山です・・・
12:22 簡単な検問を通過(徒歩)、ウルグチャット(烏恰)のイミグレに到着!
タクシーの運ちゃんに「そこだよ~」と言われ、降りる。
イミグレの手前に、簡単な検問があって、そこを徒歩で通過しました。
この先にイミグレの建物があります。
ここがウルグチャット(烏恰)のイミグレです!
※動画ではイルケシュタム国境と言っていますが、正確にはウルグチャット(烏恰)のイミグレです。
いや~広い!山が美しい!
ここでは、荷物検査と携帯とカメラの検査(持って行かれる)があって、30分ぐらい待たされます。
暇だったので、イミグレの役人(ウイグル人)と話していました。
日本の車は性能はいいけど高いね、トヨタは日本ではいくらするの?
なんて話していました。
さらにオシュへ向かうキルギス人男性とも仲良くなって少し安心しました。
(結局この人とは別の乗り合いバンに乗ることになりましたが)
また、ビシュケクから来たおばちゃんが気さくに話しかけてきてくれて、日本に行ったことがあると言って、日本の入国ビザを自慢げに見せてくれました。
私のビシュケクの家に来なよ!とまで言ってくれましたw
13:00 出国スタンプGET!
女性の役人にスタンプをもらって出国。
イルケシュタムまで行く乗り合いタクシー(100元)に乗りました。
自分以外の乗客は、ウルムチから来たおっさん2人組、30代ぐらいの若者のいずれも漢民族の3人。
おっさん2人は習近平とTKO木下に顔が似てたw
砂の山の向こうに雪山が見えます。ドライバーはキルギス人だそうです。
習近平とTKO木下は日本人の私に興味津々で、
「君にような若い人にとって中国はどう見えているの?」
「安倍晋三はどうなの?アメリカとの関係は?」
など聞いてきます。
政治の話となるとちょっと引いてしまうのですが、彼らも悪気があって聞いているわけではなく、本当に興味本意みたいでした。
13:38 検問に到着。
なんの検問なのかはよくわからない。こんな山がキレイな場所にある検問でした。
ここでまたビシュケクおばちゃんとお喋り。
13:50 検問を出発。
化石山大橋、という橋を渡る。
※助手席に座っているのが習近平。
14:03 イルケシュタムまで100キロの標識。
中国・パキスタン国境で見たパキスタンの険しい山々よりも、砂っぽくて滑らかな山が多い。
畑のようなところもありました。川も流れていました。だんだんと山が険しくなってくる。
軍の施設なのか、集落なのか、赤い屋根の建物が見える。
バイクや車が見えたので、人の出入りはあるようです。
14:40 牧草地を通る。
羊らしく動物がちらほら見える。
14:45 イルケシュタムまであと40キロ
川の色や流れ方が、中国・パキスタン国境のスストと似ている気がしました。
フタコブラクダが見えました。
14:48 吉根幼稚園?らしきものがあった。
牧草地のなかに街のようなものがあり、また習近平の「习近平总书记与新疆各族人民心连心」の看板がありました。
軍人がいたので、軍の施設かもしれませんね。
15:02 イルケシュタムまであと20キロ
曲がりくねった山道を登る。
TKO木下からチョコレートをもらう。
窓の外には海抜2,873mの標識がる。少し曇ってきました。
15:10 ラクダと羊の牧草地
このあたりから、標識にキリル文字が登場。
中国語、ウイグル語、キルギス語の3ヶ国語表記に。
国境越え③イルケシュタム国境
15:14 イルケシュタム国境に到着!
16:30までは出国ゲートが開かないので、ここで一旦休憩です。
国境感あふれる、最高の場所でした。
軍用車とトラック数台とバイクが停まっていました。
川が流れています。最高の景色です。
ちょっとした売店があって、お菓子とかカップ麺が売ってます。
タバコも売っています。
小屋の一室に、やたらと厚着した軍人11人が、ぎゅうぎゅう詰めでご飯を食べていました。
キルギス人っぽい顔の人もいますが、中国の軍人でした。羊肉のスープに生玉ねぎを乗せて、堅いベーグルのようなナンと一緒に食べていました。
美味そうだなあ・・・ここではお茶だけもらいました。
隣の部屋に食堂があるようで、習近平とTKO木下と一緒に行きました。
太ったウイグル人のおばちゃんが切り盛りしている食堂でした。
羊肉とじゃがいも!
大量のナン!
スープももらって、これでウイグル定食の完成です。
ナンをスープに浸して食べる!
この簡素な料理が最高に美味しいですね。
新疆ウイグル自治区での最後の食事となりましたが、最高でした。
食事代20元は習近平が奢ってくれました。ごちそうさまでした!
食堂の張り紙。ゲートが開くまで暇なので、そのへんをぶらぶら。と言っても何もないのですが・・・
風が強くて、寒くなってきました。
16:30 出国ゲートが開く。
16:40 簡単な検査を終えて、出発!
キルギス側に何台ものトラックが並んでいました。
みんな国境が開くのを待っていたようですね。
16:45 中国側最後の検問。
丘があって、そこに色のついた石で中国の国旗が描かれていました。
「祖国在我心」という文字が併せて書かれていました。
16:50 ここでタクシー代100元を支払い、国境を徒歩で越える。
スーツケースを転がしてるのはTKO木下。
ついにキルギスに入国です!
国境越え④キルギス入国
16:55 キルギス側最初の検問(イミグレではない)に到着。
日本人はスルーパス。
丘の上にキルギスの国旗が石で描かれていました。ここからまた乗り合いタクシー(バン)に乗ります。
習近平とTKO木下とはここでお別れ。
17:15 乗り合いバンに乗り、出発。
17:20 キルギス側イミグレに到着。
17:30 キルギス入国のスタンプGET!
17:40 荷物チェック。
乗り合いバンの乗客全員の荷物チェックが終わるまで、出発できない。
30分以上待って、ようやく出発!
18:18 キルギス側イミグレを出発!
長かった検問やらイミグレを終えて、出発です。
10人以上乗れるバンでオシュまで行きます。
だいぶ曇ってきました。
国境越え⑤険しい山々を越えてオシュへ到着
キルギスに入国した途端に山道が険しくなった。
道も一車線になり、中国側は鉄塔だったのが、キルギスだと木製の電柱になっていたりと、中国との力の差を感じました・・・
18:53 検問に到着。ここでタイヤを交換する。
19:15 タイヤの交換完了、再出発!
少し開けた牧草地を走る。
雲が濃い。そして寒いのでダウンを着ることにした。
めっちゃ雪降ってるやん・・・
そんな中、先に出発した乗り合いタクシーがパンクで立ち往生しており、それを助けることに。
こういう時に助け合う国民性なんですね。
まあこの山の中だと助け合わないとさすがにキツいか。
牧草地帯を走る。
本当に山がキレイでした。
このあたりで携帯の電池が切れて、写ルンですのみで撮影していくことに。
20:08 集落に到着。学校がある。鉄塔がある。
ここで降りていく人もいました。ここがサリタシュの街なのかな?
まだまだ霧は濃い。
20:20 ふたたび出発。
山の色が、雪の白色から緑色、そして茶色に変わっていく様子が美しかったです。
ずっとずっと山道を走っていきます。
あまりにも山がキレイだったので、小休止してもらって撮影していました。
21:38 KYRKOLという集落を通り過ぎる。
パキスタンのフンザのような雰囲気でした。
そろそろ日が暮れそうです。
21:41 グルチャ(おそらく)に到着。
GULCHAという標識が見えたのでおそらくそうなのでしょう。
ここでガソリンを入れて再出発。
夕焼けがキレイでした。途中で、小学生から中学生ぐらいの子どもたち4人が乗ってきました。
兄弟姉妹かな?
谷があり、集落があり、牛や馬や羊を飼う人がいました。
険しい山なのですが、遊牧をして暮らしている人がいるようです。
少し山道を登る。
後ろを振り返ると、雪山、岩山、草山がグラデーションしていて、それが夕陽に照らされ、たいへん美しかったです。
21:57 いよいよ日が暮れる。
エバーグリーン海運のトラックを見つける。
22:21 小休止して、日が暮れたあとの薄暗い山々を見る。
本当に山が最高に美しい。こんなに山がキレイな国があるんだなあ・・・としみじみ、。
ようやくキルギスに来た実感が湧いてきました。
この景色を見るために、はるばる国境を越えたのだなという感動がこみ上げてきました。
ふたたび乗り合いバンは走りだし、山道を抜け、街に入っていきました。
窓の外に川崎汽船のコンテナを見つけた。
22:56 オシュに到着。
親切なのか、元々そういうサービスなのか、宿の近くまで行ってくれた。
一緒に乗っていた中国人の若い男性はペキンというホテルに泊まると言って、先に降りていった。
私はオシュゲストハウスへ。運転手のおっちゃんが宿のスタッフに電話してくれて、わざわざスタッフの人が迎えに来てくれた。
(※オシュゲストハウスは非常にわかりにくい場所にあるので)
運転手のおっちゃんに200元を支払い、さようなら。
オシュの現地時刻はちょうど21時。
14時間に及ぶ、カシュガルからオシュまでの国境越えの旅がようやく終わりました。(つづく)
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素晴らしいレポートあざっす!今のうちにウルムチとカシュガル、キルギス国境越えはしようと考えてる64歳です。