この記事では、キルギスのオシュから中国・新疆ウイグル自治区のカシュガルまで行く方法を解説します。(イルケシュタム国境越え)
国境越えに必要な費用やタイムスケジュールなどを詳細に記しておきましたので、旅の参考にしてください。
私はこの国境に魅せられ、中国側・キルギス側の両方からの国境越えを果たしました。
中国側から国境を越える方法も書いているので、ぜひ読んでみて下さい。
カシュガル側からオシュへ行く人は多いのですが、キルギス側から国境越えする人は少ないようです。
貴重な情報だと思うので、読んでいただけると幸いです。
※この記事の情報は2019年5月時点のものです。
オシュからカシュガルへ向かう際に必要なお金・注意点
キルギス→中国の国境越えの概要(オシュからカシュガルへ)
オシュからカシュガルまで行くおおまかな流れは次の通りです。
この国境越えではマルシュルートカと乗り合いタクシーを合計4回乗り継がないといけません。
また、イルケシュタム国境(キルギス側)で1泊する必要があります。
※この情報は2019年時点のものです。
現在でもこの通りの方法で国境越えができるかどうか、正確な情報を得たい場合はSNS等で調べてみてください。
この国境越えを無難に成功させるポイントは、
- オシュからイルケシュタムまでの直行マルシュルートカがあるかどうか
- イルケシュタムで宿泊できる場所があるかどうか
だと思います。
1.はもしかしたら、サリタシュで乗り換える必要があるかもしれません。その場合、サリタシュで宿泊しないといけないかもしれません。となると、旅程にある程度余裕を持たせる必要が出てくると思います。
2.に関しては、イルケシュタムで泊まれる場所が無いと、そもそも国境越えが困難になってきますね…
という感じで、なかなかハードな行程ですし国境付近の情報も少ないため、一般的には超大変な部類の国境越えだと言えます。
まあ、こういった困難も国境越えの醍醐味ですよね!
オシュからカシュガルまでの移動費 & 宿泊費
国境越えにかかった費用は、上記の通り1,500ソム+133人民元なので、日本円換算で約4,500円です。これは移動と宿泊費のみです。
※料金は変わることもあると思うので、現金を多めに持っておいたほうが良いです。人民元はオシュで両替できます。
※現金オンリーです。中国に入国すればAliPayやWeChatPayが使えると思いますがクレジットカードは使えません。
要チェック!国境越えの注意点
イルケシュタム国境越え(キルギス→中国)のタイムスケジュール
※キルギスと中国には1時間の時差があります。
※乗り合いタクシーの状況によってだいぶ時間は変わると思います。
※大事な部分だけ赤字にしています。
国境越え①オシュのバスターミナル・バザール散策
さて、ここからイルケシュタムの国境越えの方法を詳しく書いていきます!
まずはオシュのバスターミナルに行きましょう。
このバスターミナルを使うのは初めてで、そもそもイルケシュタムまで直通で行けるのか?サリタシュで1泊してヒッチハイクでイルケシュタムに行くしかないのか?などと色々な選択肢を考えていました。(他の人のブログを読み漁っていた)
とりあえず、サリタシュまで行けば何とかなるやろ・・・と思いつつバスターミナルへ。
場所はGoogle Mapが示す通りです。バザールの近くにあります。
バスターミナルというか、駐車場です。しかも高架下。
全くターミナル感がないのにはもう慣れました。中央アジアあるあるです。
このバスターミナルで歩いてる人に適当に声をかけて、サリタシュ?イルケシュタム?とか聞いてみます。するとこのマルシュルートカを教えてもらいました。
399番マルシュルートカ、なんとサリタシュ経由でイルケシュタムまで行ってくれます!
イルケシュタムまで直で行けるとは思っていなかったので、感激でした。
しかも、私と同じくカシュガルまで行くというキルギス人の乗客がいて、一緒に行こうと言ってくれました。心強い!
マルシュルートカの料金は1,000ソムです。(サリタシュまでなら400ソム。)
前回、イルケシュタムからオシュに来たときは2,000ソムだったのに、逆向きだと半額なのはなんでだ!?
まあ細かいことは気にせず、出発の14時までまだ1時間以上あったので待ちます。暇なのでバザールを散策してみます。
けっこう大きなバザールのようです。
ナンを売る店。良い香りが漂ってる~
子連れのお客さんも多い。雑貨とかおもちゃも売ってました。
美味しそう。
サラミ、これは絶対美味しいやつ。
缶詰とか乳製品を売っている。なんでもあるな~
精肉店。羊でしょうな。
お菓子も売ってます。
バザールは散策し、昼ごはんを食べてマルシュルートカに戻ります。
14時出発だったはずですが30分遅れて出発。まあよくあることです。
国境越え②マルシュルートカでイルケシュタムへ
オシュからイルケシュタム峠までの道のりは、動画も参考になると思います。(風景を撮っただけですが)
1438 オシュを出発
町外れで大量の穀物を積んでいきました。
田舎に住む人がオシュに買い付けに来ていたのでしょう。
空と山が美しい。天気がよくて、ちょっと暑い。
きれいな緑の丘。このあたりは、低い山が続きます。
牛や羊の群れを追い越しながら進みます。
乗客たち。
16時頃。赤い土の山を下る。前方には岩の山、その奥には雪山が見えました。
壮大~~~
時々集落を見かけます。
野菜を右手に持ってヒッチハイクしている人を見かけました。
岩山の谷を進んでいく。
16時半頃、グルチャの街に到着。(Google Map)
しばし停止して休憩。大人3人と子供2人が乗り込んできました。大きな買い物袋を抱えています。
街で買い物をして、これから家に帰るのでしょう。
羊の大群に遭遇。
グルチャ川に沿って走る。
17時頃、コルドゥクの街に入る。(Google Map)
女性が2人乗り込んできて、バスは満員に!
オシュと比べると、外の気温がかなり下がったように感じます。
ここからは山を登っていきます。雪山も増えてきました。
17時半頃、Uch Tyubeのあたりで3人の親子は乗り込んできて、車内はぎゅうぎゅうに!
床に椅子を出して座っている人、床に置かれた穀物の大袋の上に座っている人など。
みんなサリタシュに行くのでしょうか?
山を登っていくが、25人も乗客がいるのでさすがに重い。
ゆっくり進んでいきます。
下り坂になったと思ったら、18時頃、サリタシュに到着。晴天。
以前来たときは吹雪だったので、かなり印象が異なります。
雪山がきれいだな~
イルケシュタムへ向かう道(左)とタジキスタンへ向かう道(右)の分岐点。
いつか、右にも行ってみたいな。
イルケシュタム(中国国境)へは72km、タジキスタン国境までは42km。
非常にロマンを感じますね。
サリタシュの町。特になにかあるわけでもないような田舎。
とはいえ、交通の要衝なので、それなりに大きな街なのかな?(ただの田舎という感じしかしない)
18時半頃、イルケシュタムに向けて出発。
サリタシュではほとんど人が降りなかったけど、みんなイルケシュタムで国境を越えるのか?それともこの途中で降りるのか?
雪山が美しい。
この雪山の向こうにタジキスタンがあると思うと、胸が熱くなりますね。
雄大な山々を左右に、ひたすら走っていきます。
丘陵地帯に突入。
19時半頃、検問に到着。軍人は3名。
ここは前にも来たことがありますが、簡単なパスポートチェックだけですぐ抜けられます。
この検問をすぎると、イルケシュタムはすぐそこ。
対向車はトラックが多く、中国からの輸入品を運んでいるのだろうと想像されます。
19時40分、ヌラの街に到着。(Google Map)
最初、ここが街だとは思いませんでした。
レハブのような小屋が立ち並び、なんだここは・・・?と思っていましたが、着いてみるとたしかに街のような。けどそれにしては殺風景ですね。
「連れてこられた」という言葉が思い浮かびましたが、事情はわかりません。
けれど、国境付近のこんな殺風景な街に住むことには、それなりの理由があるような気がします。
マルシュルートカの乗客のほとんどはここで下車していきました。
食糧の大袋を降ろしていきます。
ヌラをあとにすると、すぐにイルケシュタムに到着です。
国境越え③イルケシュタムでの食事・宿泊
20時を少し過ぎた頃、イルケシュタムに到着。
約6時間のマルシュルートカの旅でした。
モスクがあります。
イルケシュタムの街、というか飯屋が数軒あるぐらいです。
どれもコンテナを利用して家屋にしています。
明日の入国を待つトラックが列をなしています。
マルシュルートカの運転手に代金を払う乗客たち。
カシュガルへの旅を共にするダミル氏。
そして、ここがイルケシュタムにおそらく1軒しかない雑貨屋!!!
コンテナを改造したイカした造りです。
お菓子、サラミ、ウォッカ、ビールなど、品揃えは悪くなさそう。
謎の白いお菓子を買うダミル氏。
イルケシュタムでたぶん唯一の飯屋。
ここもコンテナ改造です。温かそうだ~
店内の様子。温かい。
5月ですが、外はコートがないと厳しいぐらいの寒さです。
質素なキッチン。
ナンが美味しい~
お茶が飲み放題なので無限に温まります。
マルシュルートカの運転手とダミル氏と3人で食事します。
スープ。これが美味しい。
じゃがいも、たまご、骨付き羊肉、肉団子が入っています。
トマトベースで、少しスパイスが効いてて、やさしい味。
ナンを浸して食べます。あったまるな〜180ソムでした。
本日の宿はこちら。
やっぱりコンテナ。かなり簡素な宿でシャワーなどもちろんない。300ソムでした。
することも特にないので、早く寝て明日の国境越えに備えます。
国境越え④キルギス・中国国境を越える(イルケシュタム国境)
翌朝。ちょっと寒いけど、晴天に恵まれ気分は最高です。
国境越え日和です。
宿はこんな感じでした。
宿の外観。キルギス側のイルケシュタムはこんなところです。
周りは山です。
国境が開くのを待つトラックたち。
ドライバーのほとんどはこの中で夜を明かしたのでしょう。
ここから緩衝地帯です。いよいよ中国へ・・・!
なんて書いてあるのでしょうか?
キルギス側イミグレーションオフィス。ここで出国手続きをします。
0800 国境ゲートがオープン
中国だと9時です。
イミグレの建物に行くために乗り合いタクシーに乗らないと行けないです。(歩いていける距離ですが・・・)
ダミル氏と中国人2人と一緒に車に乗り、イミグレへ。
0844 キルギス出国スタンプをGET!
4人全員の出国が完了。ただ、中国人2人はなにやら揉めているようで時間がかかる。
0902 キルギス側イミグレを出発。
ふたたび乗り合いタクシーに乗って、国境に向かいます。
ほどなくして国境の手前に到着。200ソムを支払う。(距離にしては高い)
ここからは歩いて国境を越えます。
0916 国境に到着。
ここで緩衝地帯は終わりみたい。ついに中国に足を踏み入れます。
ゲートは開いてませんでしたが、軍人の方が来て開けてくれました。
道路を歩くよりも丘を登った方が速いとか言われなぜか左手にある丘を越える。(息が切れる)
丘の上からキルギス側を望む。
0922 斜面に「中国在我心中」と書かれた丘の前に到着。
「中国は我の心のなかに在り」
中国を出ていく人はこれを目にして何を思うのだろう?
ここでパスポートをチェックされる。
0927 50メートルほど歩き、警察でパスポートチェック。
この先、何度パスポートをチェックされるかわからない・・・
漢民族の警官に以前中国に来たことがあるか?などと聞かれる。
この質問に意図はない、ただ興味本位で聞いているだけなので正直に答えます。
自分たちが国境一番乗りだったらしく、あとから3人ほどやってきました。
合計7名で車に乗り、イルケシュタムのイミグレに向います。
※このあたりから写真禁止となります。
0949 イミグレの建物に到着
中華人民共和国伊尔克什坦口岸(イルケシュタム国境)と書かれた建物です。
ここでは、パスポート、持ち物、スマホ、カメラのチャックをされます。
入国スタンプはここではもらえません。
建物に入ると待合室に通され、その間にパスポートとスマホをチェックされます。
待合室には10人ぐらいの欧米人ツアーグループ、キルギス人、中国人など。
こんなところにツアーで来る人がいることに驚きました。
中国人のガイドを雇っており、諸手続きをすべて彼に任せているようでした。
スマホのチェックにやたらと時間がかかります。
スマホで撮った写真は隅々まで見られます。
中国国内の国境付近の写真を撮った場合、ここでバレて削除されます。
また、何かのアプリを勝手にインストールさせられ、スマホの中を調べられます。
何を調べているのかはわかりません・・・
一説には、端末を探知できるようにしているとも・・・
真相はわかりません。
このチェックが終わったあとは、パスポート写真と顔が一致するかの検査です。
なかなか通らないので機器を再起動してもらいました。
次は荷物検査。すべての荷物を机の上にぶちまけます。
再度、スマホの中を見られます。(これは検査なのか興味本位でやられているのか)
1048イミグレの建物の外へ
1時間ほどかかった検査がおわり、やっと出発だ~と思った矢先、再び建物に戻される。
待つこと30分、再び建物の外へ。
ここには1年前にも来ているのですが、なんとなく雰囲気が変わったような・・・
前回と同じ建物もあるが、新しくできた建物もある・・・?
1127 ウチャに向けて出発!
7人乗りのバンでウチャへ向かいます。
ウチャまでは126km。
山に囲まれた道を進みます。政府のプロパガンダ的な看板を幾度となく目にしました。
途中の料金所でパスポートの検査がありました。
国境越え⑤ウルグチャット(ウチャ・烏恰)のイミグレーション
1336 ウチャのイミグレに到着
約2時間でウチャ(烏恰)に到着です。
しかし、イミグレは昼休みのようで、建物の外で待たされます。
ここで乗り合いタクシー代の100元を支払います。
1438 イミグレの建物の中へ
中に入ると、2人の警官に色々と質問されます。
どの都市に行くのか、なぜ一人で旅行しているのか、中国語はどこで学んだのかなど・・・
ほとんどの質問に大した意味はなく、ただ興味本位で聞いているだけという感じでした。
(新疆ウイグル自治区の検問はだいたいこんな感じです)
ここでもスマホの写真を調べ上げられます。
さっきもやったじゃん・・・と思いつつ、しぶしぶスマホを差し出します。
過去の写真もすべて目を通すので時間がかかります。
1545 中国入国のスタンプGET!
ここでようやくスタンプGETです。
荷物検査も完了して、建物の外へ出ます。
砂嵐が吹き荒れている。
イミグレの敷地を出るところで再びパスポート検査です。
各関所でパスポートの登録をしないといけないようなので、仕方ないですね。
ウチャのイミグレを出てすぐのところにある店で水を買いました。
なんとも味気のない街です。
ダミル氏と2人でタクシーを捕まえて、バスターミナルへ向かいます。
代金33元を支払って、乗り合いタクシーに乗り込みます。
国境越え⑥幾多の検問を乗り越えカシュガルへ
1648 ウチャを出発!
やっとカシュガルに向けて出発です。
高速道路らしく道を進みます。そこそこ交通量が多いのがキルギスとの違いですかね。
相変わらず政府のプロパガンダ看板が多いです。
途中、トルガルト峠への分岐地点を通り過ぎました。
トルガルトからもキルギスへ入国することができ、そのルートの場合、ナリンへ向かうことになります。いつか行ってみたいな~
1705 公安検査
何度目かの検査。1時間近くかかりました。
今回はパスポートを登録するのにやたら時間がかかったり、またスマホの写真を調べられたり・・・
今日撮った写真はあるか?と聞かれ、ないと答えているのに何度聞かれたり・・・
かなり参りましたが、これも国境越えの醍醐味ですね。
車を待たせるのは申し訳ないですが。
1843 公安検査
料金所を出たところで公安検査。
今回は20分程度で終えられました。
ようやくカシュガル市内に到着、ここから中心部に行くまでに渋滞で時間がかかります。
2130 カシュガル市街地に到着
カシュガルの北にあるバスターミナルの近くで降ろされ、ここからタクシーで解放北路にあるホテルへ向かいます。ダミル氏とはここでお別れ。
イルケシュタムから約12時間、ようやくカシュガルに到着しました!
ちょっと奮発していいホテルに泊まりました!
1泊3,000円ぐらい。
前回カシュガルを訪れたときに泊まった、喀什老城青年旅舎は外国人の宿泊が禁止となっていました。
パキスタンから来たバックパッカーが集ういい宿だったですが、残念です。
カシュガルで外国人が泊まれる宿は少ないので、予約する際は気をつけてください。
Booking.comで予約すればおそらく大丈夫だと思います。
ホテルで一息ついたらもう22時です。
近くの店で遅めの晩ごはんを食べました。
スーパーで見かけたポスター。プロパガンダ~~~
以上、オシュからカシュガルまで、イルケシュタム国境越えの旅でした!
さいごに
14時にオシュを出発して、カシュガルに着いたのが翌日の22時だったので36時間の旅となりました。
やはり、イルケシュタムは絶景ですね。
この国境越えは多くの絶景ポイントを通るので、ぜひ景色を楽しみながら旅してください。
難点は中国に入ってからの検査が多いことですが、これは慣れるしかないです。
時間を無駄にしている気持ちになりますが、仕方ないものと割り切りましょう。それが新疆であり中国です。
この記事がイルケシュタム峠越えの参考となれば幸いです。
今回と逆向きのカシュガル→オシュルートの記録もよかったら読んでください!
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